平成7~9年に長野県茅野市にある諏訪中央病院に勤めていました。その当時の院長は「がんばらない」で有名になった鎌田實先生でした。村々で検診を行い生活習慣病の指導をするなど、地域医療を重視する一方で、さだまさしさんを病院に呼んで地域の人と軽く酒を飲みならがトークショーをしたり、各地で講演会をするなどユニークな病院運営をする院長でした。周囲にスキー場がたくさんあり、私も家族と2年間で20回以上スキーに行きました。
長野オリンピックの直前で若者を中心にスノーボード人口が急増しているにも拘らず、スノーボード外傷はほとんど知られておらず、頭部外傷を受傷し救急搬送されてくるスノーボーダーが引きも切らず、スノーボード外傷の恐ろしさを痛感しました。
整形外科の先生と一緒に、ケーブルテレビに出演したり、地元紙(長野日報)に寄稿して、初心者が予備知識なしでスノーボードを始めるのは危険であると警鐘を鳴らし続けました。
スノーボードは山側のエッジを立ててスピードや方向をコントローしますが、谷側のエッジが間違って雪面に接触するとボードのコントロールが利かなくなりバランスを崩して転倒し、重症頭部外傷の原因となります。これをスノーボードの逆エッジ現象といいますが、急斜面より緩斜面の方がかえって逆エッジ現象が生じやすいため、このことを知らない初心者に頭部外傷が多発します。スノーボーダー初心者はこの逆エッジ現象をよく勉強して、転倒しないように気をつけていただきたいと思います。