小脳虫部腫瘍に対する経後錐体裂アプローチ(trans-post pyramidal fissure approach)


脳腫瘍が深部にある場合には、脳の一部に切り込まざるをえず、その場合どれだけ障害のでない部位を熟知しているかが手術後の後遺障害がでるかどうかのキモになります。
脳には脳溝というしわがあるため、このしわをできるだけ丁寧にはがしていけばしわの深さまでは脳を切ることなく深いところまで達することができます。
私は全ての脳内腫瘍においてこのようなしわを利用して侵襲の少ない手術を心がけています。


小脳という後頭部にある握りこぶし1つぐらいの大きさの脳があり、真ん中に縦に小脳虫部という体のバランスをとる大事な脳がありますが、虫部の一番奥にできた海綿状血管腫を摘出するため、後錐体裂という虫部の後下方にある溝を開けて、血管腫を症状を出すことなく全摘出しました。trans-post pyramidal fissure approachと名付けて、アプローチの図を付けて英語論文を書きました。
Neurologia Medico-Chirurgica 51:371-375, 2011
full text


これは私の手術の一例ですが、全ての脳腫瘍摘出術において、脳溝を意識しできるだけ脳に切り込まない手術を心がけてスタッフにもそのように指導しています。